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システム生物学:転写–複製相互作用によって明らかになった細菌のゲノム調節
Nature 626, 7999 doi: 10.1038/s41586-023-06974-w
生物は、ゲノム全体に繰り返し現れる少数の調節様式を介して、非常に多くの遺伝子の転写速度を決定している。細菌では、1個の遺伝子の調節構造とその発現の関係が、個々のモデル遺伝子回路について十分に解明されている。しかし、ゲノム規模でのこれらの動態について幅広く俯瞰することはできていない。その原因の一部は、これまで細菌のトランスクリプトミクスが何百万もの細胞の発現を平均した静止スナップショットとしてしか捉えられていなかったことにある。その結果、遺伝子発現動態の多様性の全体像や、それらの調節構造との関係性はまだ分からないままである。今回我々は、各遺伝子の調節様式を、その遺伝子自身の複製に対する転写応答に基づいてゲノム規模で分類する新しい方法を考案し、転写–複製相互作用プロファイル(TRIP)と名付けた。1個の細菌のRNA塩基配列解読データを解析したところ、染色体複製の普遍的な摂動に対する応答によって生物学的調節因子と染色体上の生物物理学的分子事象が統合され、遺伝子の局所的な調節の状況が判明することが分かった。多くの遺伝子のTRIPは遺伝子量に依存したパターンに従うが、他はそれとは異なるそれぞれ独特なパターンをとり、それはオペロン内の位置や抑制状態のような因子によって形作られる。この研究によって遺伝子発現の不均一性をもたらす機構的要因が明らかになったことで、複製に依存した発現動態をモデル化するための定量的な生物物理学的枠組みが得られた。

