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神経科学:アストロサイト反応性を神経保護的にする分子スイッチ

Nature 626, 7999 doi: 10.1038/s41586-023-06935-3

アストロサイトの表現型が神経毒性になるか神経保護的になるかを調節する内在機構や、それらが中枢神経系の変性や修復に及ぼす影響については、まだほとんど分かっていない。今回我々は、損傷を受けた白質のアストロサイトが、C3陽性かC3陰性かの2つの異なる反応性集団に分化すること(これらは従来、単純に神経毒性〔A1〕と神経保護的〔A2〕に分けられてきた)、さらにそれらが、増殖性や差次的な遺伝子発現シグネチャーで定義される独特な亜集団に分けられることを明らかにする。神経毒性になるか神経保護的になるかのバランスは、可溶性アデニル酸シクラーゼ由来のサイクリックアデノシン一リン酸の区画化された別々のプールによって調節されており、また、増殖する神経保護的アストロサイトは、ミクログリアの活性化とその下流の神経毒性アストロサイトの分化を抑制し、網膜神経節細胞の生存を促進することが示された。さらに我々は、視神経頭部のアストロサイトを特異的に標的とする、治療的に扱いやすい新規のウイルスベクターを報告し、反応性アストロサイトの核内のサイクリックAMPを増加または細胞質のサイクリックAMPを枯渇することによって、有害なミクログリアまたはマクロファージの細胞活性化が抑制され、視神経損傷後の網膜神経節細胞の生存が促されることを示す。このように、反応性アストロサイトの、可溶性アデニル酸シクラーゼと、区画化されて核または細胞質に局在化したサイクリックAMPは、神経保護的なアストロサイト反応性への分子スイッチとして機能しており、これを標的にしてミクログリアの活性化と神経毒性アストロサイトの分化を抑制することで、治療効果につなげることができる。今回のデータは、反応性アストロサイトの新規サブタイプを説明・定義付けるとともに、緑内障などの視神経症の治療のためのグリア療法(gliotherapeutics)の開発に向けた一歩となる。

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