Article
微生物学:SlyBはストレス誘導性脂質ナノドメインに外膜タンパク質を封じ込める
Nature 626, 7999 doi: 10.1038/s41586-023-06925-5
グラム陰性細菌の外膜は、リン脂質とリポ多糖の非対称性二重層で構成されており、この二重層には外膜βバレルタンパク質(OMP)とリポタンパク質が密に詰め込まれている。この二重層の構造と組成は厳密に監視されており、細胞の完全性と生存に不可欠である。今回我々は、PhoPQストレスレギュロンのリポタンパク質であるSlyBが、外膜プロテオームと、ストレス誘導性の安定した複合体を形成することを見いだした。SlyBは、10 kDaのペリプラズムβサンドイッチドメインとグリシンジッパードメイン(別個のリン脂質結合部位およびリポ多糖結合部位を持つ膜貫通αヘリックスによるヘアピン構造を形成する)から構成される。脂質の非対称性が失われた後、SlyBはオリゴマー化して、リング状の膜貫通複合体を形成することで、βバレルタンパク質をさまざまなサイズの脂質ナノドメインに封じ込める。我々は、SlyBナノドメインの形成が、抗菌ペプチドや急性の陽イオン欠乏によってリポ多糖が不安定化される際に必須であり、この状況はOMPの喪失と、機能的なSlyBが存在しない条件での外膜バリア機能の低下につながることを見いだした。我々のデータは、SlyBが区画化による保護を行う膜貫通タンパク質で、細胞エンベロープのタンパク質恒常性と完全性に関与することを明らかにし、また、SlyBが、脂質ナノドメイン形成能のある2回膜貫通グリシンジッパードメインを持つ広く保存されたリポタンパク質のより大きなファミリーであることを示唆している。

