有機LED:ポラリトン増強パーセル効果を用いた安定した青色りん光有機LED
Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06976-8
りん光有機発光ダイオード(PHOLED)は、ディスプレイと照明の両方の用途に適した、高い効率、輝度、色調整性を特徴とする。しかし、青色PHOLEDの短い動作寿命を克服することが、有機エレクトロニクスの分野において最も困難で価値のある課題の1つとなっている。その動作寿命の短さは、分子の解離につながる、高エネルギーで長寿命の青色三重項の消滅に起因している。パーセル効果は、マイクロ共振器における放射減衰率の増大であり、三重項密度を低くし、ひいては破壊的な高エネルギー三重項–ポーラロン消滅(TPA)事象と三重項–三重項消滅(TTA)事象の確率を減らすことができる。今回我々は、青色PHOLEDにポラリトン増強パーセル効果を導入した。我々は、プラズモン–励起子ポラリトン(PEP)によってパーセル効果の強度が大幅に増強され、青色PHOLEDの厚さ50 nmの発光層(EML)において、2.4 ± 0.2の平均パーセル係数(PF)が達成されることを見いだした。青緑色(シアン)発光Ir錯体デバイスのLT90(PHOLEDの輝度が初期値の90%まで減衰する時間)は、従来のPHOLEDに用いた場合と比較して5.3倍に向上した。色度座標を(0.14, 0.14)と(0.15, 0.20)にシフトさせて深青色発光させると、パーセル増強デバイスのLT90は、同様に深青色のPHOLEDよりも10~14倍向上し、1つの構造では、LT90 = 140 ± 20時間という、これまで報告された中で最長のIr錯体デバイス寿命に達した。今回のポラリトン増強パーセル効果とマイクロ共振器エンジニアリングによって、深青色PHOLEDの寿命を延長する新たな可能性が得られる。

