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神経科学:嫌悪性社会学習を調節する脳視床下部オキシトシン回路
Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06958-w
複雑な社会集団の中で生き残るには、誰に近づくべきか、さらには誰を避けるべきかを知る必要がある。マウスは社会的敗北を経験すると、何週間にもわたって勝者に近づかないようになる。今回我々は、一連の脳神経活動操作実験と記録実験を通して、後視交叉性視索上核のオキシトシン産生ニューロン(SOROXT)と、視床下部腹内側核腹側外側領域の前部亜領域に分布するオキシトシン受容体発現ニューロン(aVMHvlOXTR)が、敗北経験で誘起される社会的忌避のカギとなる回路モチーフであることを特定した。敗北以前には、aVMHvlOXTR細胞は攻撃者のシグナルに対してほとんど応答しない。しかし、敗北経験時には、SOROXTからこの細胞のみに供給されるオキシトシンの受容によってaVMHvlOXTR細胞が強く活性化され、それにより、攻撃者のシグナルに対する応答が強化される。そして敗北後は、攻撃者シグナルが誘起するaVMHvlOXTR細胞の強い活性化が攻撃者を避けるように仕向け、以後の敗北の危険を最小化する。今回の結果は、敗北経験が誘起する可塑的な社会的学習を支える神経情報処理機構を明らかにするとともに、社会的階層に関連した脳内オキシトシンの重要性を浮き彫りにしている。

