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考古学:ホモ・サピエンスは4万5000年前にはヨーロッパの高緯度域に到達していた
Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06923-7
ヨーロッパにおける中期旧石器時代から後期旧石器時代への移行は、ネアンデルタール人の地域的絶滅およびホモ・サピエンス(Homo sapiens)の拡大と関連していた。末期のネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスがヨーロッパ東部に出現してから数千年にわたり、ヨーロッパ西部で存続した。これら2つの集団間では局地的な交雑があったが、全ての機会で起きていたわけではなかった。考古学的証拠からはまた、この移行期に複数の技術複合体が存在したことが示されており、これが、行動適応と特定のヒト族集団との関連を複雑にし、理解を難しくしている。製作者が不明なそうした技術複合体の1つに、これまでヨーロッパの北西部および中部で報告されている、Lincombian–Ranisian–Jerzmanowician(LRJ)複合体がある。本論文で我々は、ドイツ・ラニスのイルゼン洞窟(Ilsenhöhle)遺跡で出土したLRJ遺物群と直接関連するヒト遺骸に関して、形態的およびプロテオームによる分類学的な特定、ミトコンドリアDNA解析、直接的な放射性炭素年代測定の結果を報告する。これらのヒト遺骸は、年代が直接測定されたユーラシアの後期旧石器時代のホモ・サピエンス遺骸としては最初期のものであることが分かった。我々は、LRJと関連する初期のホモ・サピエンスが、ヨーロッパ南西部で末期のネアンデルタール人が絶滅するはるか以前に、ヨーロッパの中部および北西部に存在したことを示す。今回の結果は、この移行期のヨーロッパに、異なるヒト集団および技術複合体がパッチワーク状に存在したという見方を裏付けるものである。

