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生化学:ヒトから化学構造を発見するための逆メタボロミクス
Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06906-8
標的を定めないメタボロミクス実験で検出された分子について、その構造と表現型が持つ背景を決定することはいまだに難問である。今回我々は、新たに合成した化合物から得られたタンデム質量分析スペクトルを、公開メタボロミクスデータセット中で検索して表現型との関連を明らかにするという、発見戦略としての逆メタボロミクスを示す。この概念を実証するため、我々は、N-アシルアミド類、ヒドロキシ脂肪酸の脂肪酸エステル、胆汁酸エステルおよび抱合胆汁酸を含む、さまざまなクラスのヒト代謝物を幅広く合成してそれらを調べた。リポジトリ規模の解析によって、一部の抱合胆汁酸が炎症性腸疾患(IBD)に関連することが明らかになった。4つの異なるヒトIBDコホートで検証したところ、クローン病ではGlu、Ile/Leu、Phe、Thr、TrpもしくはTyrを抱合したコール酸が増加していることが示された。これらの化合物のいくつか、および同類の構造は、CD4+ T細胞でのインターフェロンγ産生やプレグナンX受容体活性化作用のようなIBDに関わる経路に影響していた。ビフィズス菌(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、およびエンテロコッカス属(Enterococcus)の細菌を培養すると、これらのアミド化胆汁酸が産生された。タンデム質量分析スペクトルを使ってのリポジトリ検索が可能になったのはごく最近のことであり、この逆メタボロミクス手法はヒトおよび動物の生態系から他のさまざまな分子を発見する一般的な戦略として使えるだろう。

