Article
がん:7-デヒドロコレステロールは内因性のフェロトーシス抑制因子である
Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06878-9
フェロトーシスは細胞死の一種で、明確な腫瘍を消滅させる手段としてだけでなく、腫瘍がリン脂質の酸化に対抗するために利用する代謝適応について予想外の手掛かりが得られるとして、大きな関心が持たれている。今回我々は、7-デヒドロコレステロールレダクターゼ(DHCR7)にフェロトーシス促進活性があり、その基質である7-デヒドロコレステロール(7-DHC)に予想外の生存促進作用があることを明らかにする。これまでの研究では、高濃度の7-DHCは脂質の過酸化を促進するため、発生中のニューロンに対して細胞毒性を示すことが示唆されていたが、今回、がん細胞では7-DHCの蓄積がロバストな生存促進活性をもたらすことが明らかになった。7-DHCは、ペルオキシラジカルに対して極めて優れた反応性を持つために、(リン)脂質の自動酸化やその後の分解を効率よく防ぐ。我々は、神経芽細胞腫とバーキットリンパ腫の異種移植で検証を行い、これらの腫瘍における7-DHCの蓄積は、フェロトーシス抵抗性状態への移行を誘導し、その結果、よりアグレッシブな表現型が生じることを実証した。これらの知見は、7-DHCのこれまで知られていなかった抗フェロトーシス活性が、がん細胞がフェロトーシスを回避するために利用し得る細胞内因性機構であるという説得力のある証拠を示している。

