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生態学:頂点捕食者の回復は沿岸生態系の地形の劣化を緩和する

Nature 626, 7997 doi: 10.1038/s41586-023-06959-9

頂点捕食者の回復は、植生に被覆された生態系およびその地形に対して連鎖的な影響を及ぼすと考えられているが、それを裏付ける証拠は相関的なものにとどまり、激しい議論が続いている。今回我々は、観測データと実験データを組み合わせることで、米国のある河口域におけるラッコの再定着が栄養カスケードを生み出し、その結果、沿岸湿地の植物バイオマスが増加し、湿地周縁部の侵食(生息地および生態系サービスの大きな喪失を招く過程)が抑制されたことを明らかにする。河口域であるエルクホーン湿地(Elkhorn Slough)での数十年にわたるモニタリングにより、この生態系では、物理的ストレス(栄養負荷、海水準上昇、潮汐洗掘)の一貫した増強にもかかわらず、ラッコ個体数の増加に伴って塩性湿地周縁部の侵食が概して減速していたことから、この系のトップダウン制御が示唆された。5つの潮汐クリークで行った捕食者排除実験の結果、ラッコが穿孔性のカニ類の個体数を抑制しており、このトップダウン効果が、湿地の周縁部の強化と同時に湿地の侵食の抑制につながっていることが明らかになった。ラッコの定着の前後で複数の湿地クリークを比較した調査では、キーストーン種であるラッコ、穿孔性カニ類、湿地クリークの間の相互作用の存在が確認され、捕食者による生態系周縁部の過程の制御の空間的一般性、すなわち、ラッコの再定着レベルの高いクリークでは、穿孔性カニ類の密度と周縁部の侵食が顕著に抑制されることが実証された。以上の結果は、栄養構造の悪化(trophic downgrading)が沿岸湿地の縮小の強力だが過小評価されてきた誘因である可能性を示しており、頂点捕食者の回復が地形の安定性の立て直しに役立ち得ることを示唆している。

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