電気化学:硫黄の16電子還元反応における反応ネットワークの確立
Nature 626, 7997 doi: 10.1038/s41586-023-06918-4
硫黄還元反応(SRR)は、高容量リチウム硫黄(Li-S)電池において中心的な役割を果たしている。SRRは、複数の多硫化リチウム中間体と反応分岐を特徴とする、複雑な16電子変換過程を伴う。その複雑な反応ネットワークの確立は、Li-S電池を改良するためのSRRの合理的調整に不可欠であるが、非常に困難な課題となっている。今回我々は、電極触媒的SRRを系統的に調べ、変換反応速度の加速における電極触媒の役割を理解するためのモデル電極として窒素・硫黄二重ドープ穴あきグラフェンフレームワークを用い、SRRネットワークを解明した。我々は、サイクリックボルタンメトリー、in situラマン分光法、密度汎関数理論計算を組み合わせることで、さまざまな電位における主要中間体(S8、Li2S8、Li2S6、Li2S4、Li2S)を特定して直接プロファイリングし、それらの変換経路を明らかにした。主に観察されたのはLi2S4とLi2S6で、中でもLi2S4は、全体的なSRR速度を決定付ける重要な電気化学的中間体である。Li2S6は、均化(不均化)反応を通して生成(消費)され、電気化学反応には直接関与しないが、多硫化物のシャトリング過程には大きく寄与する。我々は、窒素・硫黄二重ドープ穴あきグラフェンフレームワーク触媒が多硫化物変換速度の加速に役立つ可能性があり、より高い電位における可溶性多硫化リチウムの枯渇の高速化につながるため、多硫化物シャトリング効果を軽減して出力電位を上昇させることを見いだした。今回の結果は、電極触媒的手法が、Li-S電池に関する基本的課題に取り組む有望な戦略となることを浮き彫りにしている。

