Article

ナノスケール材料:ファンデルワールス金属CeSiIにおける二次元重フェルミオン

Nature 625, 7995 doi: 10.1038/s41586-023-06868-x

重フェルミオン金属は、電子的相互作用によって駆動される創発量子相を観測するための典型的な系である。長年にわたる念願の1つは、こうした物質の次元を減らしてその量子相を制御することだが、従来の重フェルミオン金属間化合物の原子構造と電子構造が三次元的であるため、その実現は依然として大きな課題である。今回我々は、弱い層間ファンデルワールス(vdW)相互作用によって結合した二次元(2D)金属シートからなる金属間化合物であるCeSiIにおいて、反強磁性的に秩序化された重フェルミオン基底状態の存在を示す、包括的な熱力学的および分光学的証拠を報告する。CeSiIは、そのvdW的性質から準2D電子構造を有し、その物理的次元は剥離によって制御できる。低温でのf電子と伝導電子のコヒーレントな混成の出現は、フェルミ準位近傍の角度分解光電子分光スペクトルと走査型トンネルスペクトルの温度発展と、熱容量測定によって裏付けられた。数層からなる薄片の電気伝導測定から、重フェルミオン的挙動と磁気秩序が極薄領域まで明らかになった。今回の成果は、CeSiIとその関連物質を、バルク結晶中の次元的に閉じ込められた重フェルミオンを研究し、2Dデバイス作製技術とvdWヘテロ構造を用いて近藤遮蔽、磁気秩序、近接効果の相互作用を操作するための、他に例を見ないプラットフォームとして確立するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度