Article

微生物学:ファージは多様な抗防御タンパク質を介して細菌の免疫を克服する

Nature 625, 7994 doi: 10.1038/s41586-023-06869-w

細菌は、CRISPR–Cas系や制限酵素系以外にも、非常に多様なファージ抵抗性系を用いることが最近報告されたが、細菌のこの多層的な免疫に対してファージがどのように対処しているのかは、ほとんど明らかにされていない。今回我々は、細菌の防御系に対して異なる感受性を示す、近縁のバチルス属(Bacillus)菌ファージ群を解析し、Gabija系、Thoeris系、Hachiman系を阻害する4つの異なる抗防御タンパク質ファミリーを発見した。これらのタンパク質はGad1、Gad2、Tad2およびHad1であり、個々の防御系を共発現あるいはファージゲノムに導入すると、細菌の防御活性を効率よく打ち消すことが分かった。また、これらの抗防御タンパク質のホモログは、分類的に多様な細菌種に感染する数百のファージでも見つかった。我々は、抗Gabijaタンパク質であるGad1は、ファージ由来DNAを切断するGabija防御複合体の能力を阻害することを示す。我々のデータはさらに、抗Thoerisタンパク質Tad2が、ファージ感染に応答してThoeris TIRドメインタンパク質によって産生される免疫シグナル伝達分子を「スポンジ」として隔離することを明らかにする。我々の結果は、ファージは、細菌のさまざまな防御機構を無効化し得る対抗手段として、種々の抗防御タンパク質をコードしていることを示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度