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物性物理学:正方格子イリジウム酸化物における量子スピンネマチック相

Nature 625, 7994 doi: 10.1038/s41586-023-06829-4

スピンネマチックは古典的な液晶に類似した磁性状態であり、液体と固体の両方の特徴を示す第四の物質状態である。特に興味深いのが原子価結合スピンネマチックで、スピンの量子エンタングルメントによって、時間反転対称性を破ることなく多極子秩序が形成されるが、これを実験的に明確に実現することは依然として困難である。今回我々は、正方格子イリジウム酸化物のSr2IrO4においてスピンネマチック相を確立し、強いスピン–軌道結合限界において擬スピン1/2ハイゼンベルク反強磁性体を近似的に実現した。冷却すると、TC ≈ 263 Kでのスピンネマチック相への転移が、ラマンスペクトルから得られる静的スピン四極子磁化率の発散と、回転対称性の自発的な破れを伴う集団モードの同時出現によって示される。この四極子秩序は、TN ≈ 230 K以下の反強磁性相でも持続し、共鳴X線回折において反強磁性秩序との干渉によって直接観測可能になり、その空間構造を一意的に決定できるようになる。さらに我々は、共鳴非弾性X線散乱を用いて、短波長スケールでコヒーレントなマグノン励起の完全な崩壊を見いだした。これは、反強磁性状態における多体量子エンタングルメントを示唆している。まとめると今回の結果は、高温超伝導機構に密接に結び付いていると広く考えられているネール反強磁性体の根底にある量子秩序を明らかにしている。

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