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海洋化学:数十年の海洋観測データに基づく生物学的炭素ポンプの見積もり
Nature 624, 7992 doi: 10.1038/s41586-023-06772-4
光合成で生成された有機炭素の表層水から中層水への輸送によって、大気から二酸化炭素が取り除かれている。しかし、この生物学的炭素ポンプ(BCP)の強度に関する観測に基づく現在の見積もりは、一致していない。地球システムモデル(ESM)によるBCPの見積もりにも大きな幅があり、これは既知の炭素輸送経路による説明では限界があることを示している。今回我々は、数十年間にわたる海洋観測結果を用いて、全ての既知の輸送路を本質的に説明できる生物地球化学的逆モデルによって、BCP強度をトップダウンで見積もった。その結果、深さ73.4 m(モデルの真光層深度)における全有機炭素(TOC)輸送量は、15.00 ± 1.12 Pg C year−1と見積もられ、上層水柱における有機物の急速な再石灰化のために、深度100 mに達するのは3分の2にすぎないことが示された。真光層より下の隔離時間τによって分割したところ、τが3カ月を超えると、全球で積分した有機炭素生成速度は11.09 ± 1.02 Pg C year−1となり、これはτが1年を超えると8.25 ± 0.30 Pg C year−1に減少し、その81%が、沈降粒子と鉛直方向に移動する動物プランクトンによる非移流拡散鉛直フラックスの寄与であった。それにもかかわらず、溶存物質と懸濁粒子の混合などの流体輸送による有機炭素の輸送は、呼吸による炭素需要を満たすのに地域的にはまだ重要である。さらに、今回の逆解析から推測された隔離効率の温度依存性は、将来の地球温暖化が海洋上層の有機物循環を強化し、BCPを弱める可能性を示唆している。

