Article
材料科学:マルチスケールの応力分散によるゴムの疲労抵抗の増大
Nature 624, 7991 doi: 10.1038/s41586-023-06782-2
硬質粒子で強化されたゴムは、タイヤ、ダンパー、ベルト、ホースなどの大量用途に用いられている。多くの用途では、過度の変形に耐えるために高い弾性率が、そして、繰り返し荷重下の亀裂成長に耐えるために高い疲労しきい値が必要である。粒子は、弾性率を大幅に上昇させるが、疲労しきい値は上昇させないことが知られている。例えば、天然ゴムに炭素粒子を添加することによって、弾性率は1~2桁高くなるが、疲労しきい値は、強化の有無にかかわらず、数十年前から約100 J m−2のままである。今回我々は、マルチスケールの応力分散によって、粒子強化ゴムの疲労しきい値を高めた。我々は、高度に絡み合った長いポリマーが硬質粒子と強く接着するゴムを合成した。亀裂先端では、応力は、2つの長さスケールにわたって(まずポリマーを通して、次に粒子を通して)分散される。このゴムは、約1000 J m−2の疲労しきい値を達成した。このゴムでできた台と把持体は、高い荷重に耐え、繰り返し操作にわたり亀裂成長に抵抗した。マルチスケールの応力分散は、材料特性空間を拡張し、ポリマー汚染の抑制や高性能ソフトマシンの構築への扉を開く。

