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遺伝学:MSL2は哺乳類における両対立遺伝子性の遺伝子発現を保証する

Nature 624, 7990 doi: 10.1038/s41586-023-06781-3

二倍体生物では、両対立遺伝子性の遺伝子発現によって、適正レベルのmRNA産生が可能になっている。これはハプロ不全遺伝子にとって不可欠であり、ハプロ不全遺伝子が最適な機能によって発達障害の発症を防ぐためには、両対立遺伝子性の遺伝子発現が必要とされる。個々の座位が両対立遺伝子性の状態なのか単一対立遺伝子性の状態なのかが細胞タイプ特異的な様式で決まるのかどうか、また、それがどのようにして決まるのかは、まだ明らかにされていない。MSL2は、ハエにおいて雄のX染色体の遺伝子量補償に関わることが知られている。今回我々は、MSL2が哺乳類の対立遺伝子発現の調節に果たす役割を明らかにした。マウスの神経前駆細胞で、バルクと単一細胞レベルで対立遺伝子特異的解析を行ったところ、MSL2の喪失後に、両対立遺伝子性に下方調節される標的に加えて、あるクラスの遺伝子は両対立遺伝子性発現から単一対立遺伝子性発現へと移行することが分かった。これらの遺伝子の多くはハプロ不全である。MSL2がないと、一方の対立遺伝子は活性なままでヒストン修飾と転写因子の結合が維持されるが、もう一方の対立遺伝子はサイレンシングされ、プロモーターとエンハンサーの接触が失われ、DNAメチル化が獲得される。Msl2ノックアウトマウスは周産期致死性と胚発生中の不均一な表現型を示し、これによってMSL2が遺伝子量の調節に役割を果たすことが裏付けられた。遺伝子量感受性な特定の遺伝子群の両対立遺伝子性発現の維持にMSL2が担う役割は、哺乳類細胞の対立遺伝子の遺伝子量補償に関わる他の因子のさらなる研究を進める道を開くもので、ヒト疾患にも大きな意味を持つ。

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