プロテオミクス:酵母タンパク質インタラクトームの社会的および構造的な構成
Nature 624, 7990 doi: 10.1038/s41586-023-06739-5
細胞の機能はタンパク質–タンパク質相互作用によって仲介されており、インタラクトームのマッピングは生物学的システムについての基本的な見通しをもたらす。アフィニティー精製質量分析はこのようなマッピングを行うためには理想的な手段だが、コピー数の少ない複合体、膜複合体、タンパク質タグ付けによって破壊されている複合体を見つけ出すことは難しい。その結果、インタラクトームについての我々の現在の知識は完全とは程遠く、また、報告された相互作用の信頼性の評価は難問となっている。今回我々は、再現性の高い親和性濃縮と質量分析を定量的二次元解析戦略と組み合わせた、高感度でハイスループットな方法を開発し、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)インタラクトームの包括的マッピングを行った。96ウェル形式で容量を1000分の1に減らすことで、発現している酵母プロテオーム全体をカバーする内因性GFPタグ付きライブラリーの反復解析が可能になった。4159のタンパク質に対するプルダウンアッセイにより、3万1004の相互作用によって接続される3927のタンパク質からなる高度に構造化されたネットワークが生成し、既存のインタラクトームマップと比べて、タンパク質の数が2倍、信頼できる相互作用の数が3倍になった。これには、存在量が非常に少ないエピジェネティック複合体、細胞小器官膜複合体、存在量との相関によって推測されるタグ付けできない複合体が含まれている。このほぼ飽和したインタラクトームから、酵母タンパク質の大部分が高度に接続されており、1つのタンパク質当たり平均16の相互作用タンパク質があることが明らかになった。ヒトの間に生じる社会的ネットワークと同様に、タンパク質間の最短経路の平均距離は4.2相互作用である。AlphaFold-Multimerからは、複合体中のこれまで特徴が分かっていなかったタンパク質の機能的役割についての新たな手掛かりが得られた。我々のウェブポータル(www.yeast-interactome.org)では、インタラクトームのデータセットの広範な探索が可能である。

