免疫学:in vivoでの単一細胞CRISPRスクリーニングによる、がんにおけるT細胞運命レギュロームのマッピング
Nature 624, 7990 doi: 10.1038/s41586-023-06733-x
CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)は抗腫瘍免疫を調整し、前期疲弊T(Tpex)細胞は存在するが、既存の免疫療法に応答できる後期疲弊T(Tex)細胞は存在しないという固有の不均一性を示す。CTL分化の根底にある遺伝子調節ネットワークや、Tex細胞の応答が機能的に再活性化できるかどうかについては、完全には分かっていない。今回我々は、in vivoでの単一細胞CRISPRスクリーニングを用いて、原因遺伝子の調節ネットワークに対する体系的なマッピングを行い、CTL分化のチェックポイントを発見した。まず、Tpex細胞の静止状態からの脱出により、中間的なTex細胞へと連続的な分化が開始される。この過程は、IKAROSとETS1によって異なる調節が行われており、これらの欠損はそれぞれ、mTORC1関連代謝活性の低下と増加を引き起こした。IKAROS欠損細胞は、免疫チェックポイント阻害(ICB)後に、分化能の限定された代謝的に静止状態のTpex細胞集団として蓄積した。逆に、ETS1を標的とすると、Tpex細胞から中間的なTex細胞への分化と代謝的再配線を促進することで、抗腫瘍免疫とICBの有効性が改善された。機構的には、IKAROSの標的はTCF-1、ETS1の標的はBATFである。次に、RBPJ–IRF1軸は、中間的なTex細胞から後期Tex細胞への分化を促す。従って、RBPJを標的とすると、Tex細胞の機能的およびエピジェネティックな再プログラム化が進んで増殖状態となり、治療効果とICBの有効性が向上した。まとめると本研究により、Tpex細胞の静止状態からの脱出を促してTex細胞状態の増殖性を高めると、抗腫瘍効果の重要な手段として働くことが明らかになり、細胞運命レギュロームとがん免疫の再プログラム化可能な機能的決定因子を統合する体系的な枠組みが提供された。

