Article
神経科学:単一の光受容体が共伝達により知覚と同調を分離する
Nature 623, 7987 doi: 10.1038/s41586-023-06681-6
視覚は、コントラストに基づく経路による画像形成知覚と、放射照度に基づく経路による無意識の非画像形成概日光同調の両方を可能にする。これらの視覚的役割には、それぞれに特化した2つの異なる光受容体集団が存在するが、画像形成光受容体は多様な種で概日時計の光同調にも関与し得る。しかし、画像形成光受容体経路が、どのようにして画像知覚に必要なコントラスト信号からの概日光同調に必要な放射照度信号の分離を機能的に実行しているかは不明である。本研究で我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)のR8光受容体が、2つの神経伝達物質ヒスタミンとアセチルコリンを共伝達することにより、画像形成信号と放射照度信号を分離することを報告する。この分離は、ヒスタミン受容体を発現する単柱状網膜ニューロンと、アセチルコリン受容体を発現する多柱状統合ニューロンにより、シナプス後でさらに確立される。R8光受容体からのアセチルコリン伝達は、明暗周期の明期に共伝達されるヒスタミンの負のオートクリンフィードバックによって維持される。行動レベルでは、ヒスタミンとアセチルコリンの伝達を除去すると、R8によって駆動される動きの検出と概日光同調がそれぞれ損なわれた。従って、単一タイプの光受容体が、一次視覚シナプスの段階で早々に視覚知覚と概日光同調の二分を達成できることが示され、この結果は、異なる感覚特性を個体レベルでの異なる行動に分離・変換する、単純だがロバストな機構を明らかにしている。

