Perspective
遺伝学:ヒトの神経科学における機能ゲノミクスとシステム生物学
Nature 623, 7986 doi: 10.1038/s41586-023-06686-1
神経科学研究は、情報資源構築とツール開発に対する強力な財政支援および知的支援によって、神経ゲノミクス分野のカギとなる発見がなされる段階に入っている。組織の不均一性に対するこれまでの課題は、個々の細胞の大規模プロファイリングを可能にする技術を適用することで解決された。さらに、細胞タイプ特異的な様式で遺伝子や遺伝子調節エレメント、ニューロン活動を摂動できるようになり、遺伝子発現研究と統合することで、ゲノムの機能的基盤がシステムレベルで明らかになっている。これらの知見は必然的にモデル系に基づいたものであったが、ヒト遺伝学や脳画像化、組織採取における進歩により、現在ではこれらの手法をヒトやヒト組織に適用する機会がもたらされている。モデル系で開発されたゲノムツールをヒトの神経科学研究に適用できる範囲には、おそらく常に限界があるであろうことは我々も認めるところだが、本論文で述べるように、神経科学分野では現在、この野心的挑戦に取り組むための最適な土台が整っている。これらのデータセットに対するシステムレベルのネットワーク解析の適用は、直接観察できる現象からは達成できないヒト神経ゲノミクスについてのより深い理解を可能にするだろう。

