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神経科学:霊長類網膜におけるON型方向選択性神経節細胞
Nature 623, 7986 doi: 10.1038/s41586-023-06659-4
我々の眼は、外界の安定した鮮明な像を維持するために、視覚情景が動いている方向を反射的に追う。このような視線を安定化する機構により、我々が環境内を移動する際の像のぶれが軽減される。非霊長類哺乳類では、この行動は、ON型方向選択性神経節細胞(ON-DSGC)と呼ばれる網膜出力ニューロンによって開始される。ON-DSGCは像の動く方向を検出し、代償性眼球運動を駆動する脳幹核に信号を伝える。しかし、霊長類の網膜ではON-DSGCがまだ特定されておらず、この反射が皮質視覚野によって仲介されている可能性が浮かび上がっている。今回我々は、霊長類の網膜の単一細胞RNAトランスクリプトームデータをマイニングし、ON-DSGC候補を特定した。我々は次に、2光子カルシウム画像化法、分子の特定、形態学的解析を組み合わせて、マカク属サルの網膜でON-DSGCの集団を明らかにした。霊長類ON-DSGCにおける方向選択性の基盤となる、形態、分子的シグネチャー、GABA(γ-アミノ酪酸)依存性の機構は、他の哺乳類の機構でも高度に保存されている。さらに我々は、ヒト網膜でON-DSGC候補を見いだした。霊長類においてON-DSGCが存在するということは、発達中および成熟した視覚系で正常および異常な視線安定化に対する皮質下の網膜機構の関与を調べる必要性を浮き彫りにしている。

