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遺伝学:性特異的因子SOAはハマダラカ属の蚊で遺伝子量補償を制御する

Nature 623, 7985 doi: 10.1038/s41586-023-06641-0

ハマダラカ属(Anopheles)の蚊は雌だけが産卵のために吸血を必要とするため、その生物学的性質に性差が中心的な役割を果たしている数千種のうちの1つとなっている。性分化は性染色体によって調節されるが、性染色体の存在により雄(XY)と雌(XX)の間で遺伝子量の不均衡が生じる。遺伝子量補償(DC)は、性染色体上の遺伝子発現量を再び同じになるように調節できる。しかし、DC機構の特徴は少数のモデル生物でしか十分に解明されていないため、その進化における多様性や機能の必要性についての重要な疑問はまだ解明されていない。今回我々は、マラリアを媒介するガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)では、これまで特徴が明らかでなかった遺伝子SOAsex chromosome activation)がDCのマスター調節因子であることを明らかにする。性特異的な選択的スプライシングによって、雌では機能を備えたSOAタンパク質の発現が妨げられている。雄が持つSOAアイソフォームはDNA結合タンパク質をコードしており、これがX染色体上の活性がある遺伝子群のプロモーターに結合する。雄型SOAの発現だけで、雌細胞でDCを誘導するのには十分である。SOAを欠損する雄の蚊、あるいは雄型アイソフォームを異所性発現する雌の蚊では、X染色体の調節異常が見られ、生存能力はあるが発育遅延が引き起こされた。このように、我々が行った非モデル生物でのDCのマスター調節因子の分子的解析により、染色体特異的な微調整機構の確立につながる進化的段階が明らかになった。

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