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分子生物学:クロマチンの区画化がDNA損傷応答を調節する
Nature 623, 7985 doi: 10.1038/s41586-023-06635-y
DNA損傷応答は、ゲノムの完全性を守るために極めて重要である。DNA修復におけるクロマチンの寄与は詳しく調べられているが、修復過程に対する染色体折りたたみの寄与は、まだ明確にはなっていない。今回我々は、哺乳類細胞に二本鎖切断(DSB)が生じた後、損傷を受け、γH2AXと53BP1によって修飾されたトポロジカルドメインのクラスター形成を介して、ATMタンパク質が新しいクロマチン区画(D区画)の形成を引き起こすことを明らかにする。この区画の形成機構は、液–液相分離ではなく、重合体–重合体相分離の方に一致する。このD区画は主にG1期に生じ、コヒーシンとは無関係で、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)やRループの蓄積を薬剤で阻害すると形成が促進される。重要なのは、Rループが多いDNA損傷応答遺伝子がD区画に物理的に局在することで、それがこれらの遺伝子の最適活性化に寄与し、DNA損傷応答でのDSBクラスター形成機能をもたらす。しかし、DSBが誘発する染色体の再編成には、がんゲノムでも観察される転位の増加という代償が伴う。これらをまとめると、DSBが誘発する区画化がDNA損傷応答を協調させる仕組みが明らかになり、染色体の構造がゲノムの安定化に及ぼす極めて重要な影響が明確になった。

