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構造生物学:ミトコンドリアの段階的転写開始を説明する構造

Nature 622, 7984 doi: 10.1038/s41586-023-06643-y

転写開始は遺伝子発現の重要な調節段階であり、その際にはRNAポリメラーゼ(RNAP)がde novoにRNA合成を開始する。そして、合成されて特定の長さになったRNAにより伸長段階への移行が引き起こされる。ミトコンドリアは、RNAP の単一サブユニットと1個もしくは2個の補助因子を調達して転写を開始する。酵母とヒトのミトコンドリアRNAP開始複合体(IC)の分子構造は、以前の研究で明らかにされている。今回我々は、2個から8個のヌクレオチドRNA合成を触媒中で、1個のヌクレオチドを追加する段階にある酵母ミトコンドリアRNAPと転写因子Mtf1の高分解能クライオ電子顕微鏡構造を解くことにより、転写開始の包括的で段階的な機構を示す。伸長中のRNA–DNAは、鋳型の縮みと非鋳型への再編成によりポリメラーゼの割れ目内に収められており、圧力がかかった状態の中間体を形成している。転写の開始初期には、非鋳型ストランドの縮みと戻りにより、2個から3個のヌクレオチドからなる短いRNAが不安定化し、これは合成失敗につながる。これに続いて、非鋳型ストランドが、塩基が重なった階段様構造に再編成され、進行中の5個から8個のヌクレオチドからなるRNAの合成を支援する。IC(initiation complex)8内の広がった非鋳型ストランドの階段様構造と大きく縮んだ鋳型はプロモーターとMtf1との相互作用を不安定化し、開始複合体から伸長複合体(EC)へ移行するための開始バブル崩壊とプロモーター脱離が促進される。複数の構造要素の相互作用によりそれぞれ導かれた一連の転写開始段階により、調節管理のためと考えられる微調整された機構が明らかになった。

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