ウイルス学:高病原性鳥インフルエンザH5ウイルスの周期的流行
Nature 622, 7984 doi: 10.1038/s41586-023-06631-2
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1ウイルスの活性は、2021年以降、世界的に増強されており、野鳥や家禽の大量死、および哺乳類への偶発的感染の原因となることが増えてきている。しかし、今後の負荷軽減戦略を明確にする生態学的およびウイルス学的な特性は、まだ明らかになっていない。今回我々は、疫学的手法、空間的手法、ゲノム手法を用いて、再流行したHPAI H5の起源の変化を実証し、ウイルスの生態と進化の重要な推移を明らかにする。アウトブレイク(集団発生)データから、2016~2017年と2020~2021年に重要な再流行事象が起こり、2021~2022年のH5N1の出現と汎発性動物間流行病(panzootic)の伝播に関与したことが示された。ゲノム解析から、2016~2017年の動物間流行(epizootic)はアジアに起源があること、アジアのHPAI H5リザーバーはエンデミックであることが明らかになった。2020~2021年には、アフリカの家禽で2.3.4.4b H5N8ウイルスが出現し、このウイルスはHAの構造と受容体への結合を変化させる変異を特徴としていた。2021~2022年には、ヨーロッパの野鳥で新しいH5N1ウイルスが遺伝子再集合により進化し、さらに、世界的伝播の際に、野鳥や家禽で低病原性鳥インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合が起こった。これらの結果は、HPAI H5のエピセンターがアジア以外の地域にも推移していることを明らかにしており、また、野鳥でのHPAI H5の残留期間が長くなることで、地理的範囲および宿主域がより拡大し、分散速度が加速され、遺伝子再集合の可能性が高まることを示している。H5N1およびH5N8のアウトブレイクは、早期であるほど、ゲノム配置(genomic constellation)がより安定したウイルスによって引き起こされるため、これらの最近の変化は家禽と野鳥の境界面での適応を反映している。従って、今後の動物間流行を制限するためには、依然として家禽におけるウイルス除去戦略の優先順位が高い。

