Article
神経科学:ケタミンの持続的な抗うつ作用は外側手綱核におけるNMDARによる捕捉を介する
Nature 622, 7984 doi: 10.1038/s41586-023-06624-1
N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体(NMDAR)アンタゴニストであるケタミンは、強力かつ迅速で持続的な抗うつ作用があるため、うつ病の治療に大変革をもたらした。ケタミンの消失半減期は、マウスではわずか13分だが、その抗うつ活性は少なくとも24時間持続する。この大きな食い違いは、興味深い基礎生物学的疑問を投げ掛け、強い臨床的な意味を持つ。今回我々は、ケタミンの単回の全身注射後に、最長で24時間にわたって外側手綱核(LHb)におけるバースト発火の抑制とNMDARの阻害が持続することを実証する。このNMDARの長期的阻害は、エンドサイトーシスによるものではなく、使用依存的なNMDAR内のケタミンの捕捉に依存している。その捕捉解除速度は、神経活動によって調節される。異なる血漿ケタミン濃度でのLHbの活性化や局所的なNMDARの開口によってケタミンとNMDARの相互作用の動的平衡を利用すると、in vivoでケタミンの抗うつ作用の短縮や延長を行うことができた。これらの結果は、ケタミンの持続的な抗うつ作用の原因機構について新たな手掛かりを提供する。ケタミンとNMDARの相互作用の生物物理学的特性に基づいてケタミン作用の持続期間を調節できることで、治療薬としてのケタミンの使用に新たな機会が開かれる。

