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量子シミュレーション:ハバード量子シミュレーターに出現する双極子量子固体

Nature 622, 7984 doi: 10.1038/s41586-023-06614-3

量子力学的多体系では、長距離相互作用や異方的相互作用によって豊かな空間構造が促され、量子フラストレーションが生じて、さまざまな複雑な強相関量子相が生じる可能性がある。長距離相互作用は自然界で重要な役割を果たしているものの、格子系の量子シミュレーションでは、そうした相互作用を実現することはほとんどできなかった。極性分子、リュードベリ原子、光共振器、磁性原子を用いて、長距離相互作用格子系を調べる広範な試みが進められている。今回我々は、極低温磁性エルビウム原子用いて、長距離双極子相互作用を伴う強相関格子系における新たな量子相を実現している。我々は、今回の系において支配的なエネルギースケールになるように双極子相互作用を調整したところ、超流動体から双極子量子固体への量子相転移を観測している。この際、我々は、アコーディオン格子を用いた量子気体顕微鏡を使ってこれを直接検出している。双極子を配向させることによって相互作用の異方性を制御すると、さまざまな縞状の秩序状態の実現が可能になる。さらに我々は、強相関領域を通る非断熱的な遷移によって、準安定な縞状の秩序状態の出現を観測している。今回の研究は、光格子において長距離双極子相互作用を用いることで、新たな強相関量子相を実現できることを実証しており、長距離相互作用や異方的相互作用を伴う格子モデルの量子シミュレーションへの扉を開く。

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