ゲノミクス:メキシコバイオバンクはさまざまな祖先系の集団ゲノミクスと医療ゲノミクスを推進
Nature 622, 7984 doi: 10.1038/s41586-023-06560-0
ラテンアメリカの人々を調べたゲノミクス研究はいまだに非常に少なく、詳細な遺伝学的歴史や複雑形質の構造は、データが不十分なために、明らかになっていない。こうした不足を補うために、メキシコバイオバンクプロジェクトは、メキシコの全32州にわたる農村部および都市部898地域の6057人について、複雑形質や疾患情報と結び付けられた、ゲノム規模の180万のマーカーの分解能で遺伝型決定を行い、貴重な全国的遺伝型–表現型データベースを作成した。今回我々は、祖先系のデコンボリューションとIBD(identity-by-descent)セグメントの推定を用いて、メソアメリカ地域全体の祖先系集団のサイズを経時的に推測し、先住民時代、植民地時代、植民地後時代の人口動態を明らかにした。異なる人口動態の歴史を反映する、異なる祖先系のゲノム領域間で、ホモ接合が連続する領域(ROH)に変動が見られ、これは異なる人口動態の歴史を反映しており、そしてその結果、まれで有害なバリアントの分布も異なっていた。22の複雑形質についてゲノム規模関連解析(GWAS)を行い、いくつかの形質は、英国バイオバンクのGWASよりも、メキシコバイオバンクのGWASを用いた方がより正確に予測できることが分かった。ボディーマス指数、トリグリセリド、グルコース、身長の予測因子としてのROHゲノム長といった形質の多様性に関連する遺伝要因および環境要因が特定された。この研究は、メキシコの人々における遺伝学的歴史についての手掛かりを示すとともに複雑形質の構造を明らかにしており、この両方が精密医療や予防医療のイニシアチブを世界中で利用できるようにするのに重要である。

