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分子生物学:脂肪酸酸化の阻害は成体マウスでの心臓再生を可能にする

Nature 622, 7983 doi: 10.1038/s41586-023-06585-5

心筋細胞の出生後の成熟は、解糖から脂肪酸酸化への代謝切り換え、クロマチン再構築と細胞周期からの脱出が特徴で、これらは成体での心臓再生に対する障害となっている。今回我々は、代謝の再プログラム化によってこうした障害が克服され、心臓再生が可能になるかどうかを調べるために、心筋細胞での脂肪酸酸化をCpt1bの不活性化により停止させた。心筋細胞での脂肪酸酸化の無効化は、低酸素状態に対する抵抗性を増進させ、心筋細胞の増殖を活性化し、虚血再灌流傷害後の心臓再生を可能にした。代謝について調べたところ、Cpt1bが変異している心筋細胞では、エネルギー代謝の大規模な変化とα-ケトグルタル酸の蓄積が起きており、それがα-ケトグルタル酸依存性のリシンデメチラーゼKDM5の活性化につながることが明らかになった。活性化されたKDM5は、心筋細胞の成熟を促進する遺伝子のH3K4me3ドメインを広範囲にわたって脱メチル化し、それによって遺伝子の転写レベルを低下させて心筋細胞をより成熟が進んでいない状態に移行させ、その結果として増殖が促される。代謝の成熟によって心筋細胞のエピジェネティックな全体像が形成され、さらなる細胞分裂に対する障害が生成すると、我々は結論する。この過程を反転させることで、損傷した心臓の修復が可能になる。

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