生物工学:マウス中枢神経系の分子分解能での空間アトラス
Nature 622, 7983 doi: 10.1038/s41586-023-06569-5
脳の分子的な細胞タイプを単一細胞分解能で三次元体積全体にわたり空間的に図示することは、脳の構造と機能の分子基盤を明らかにする上で非常に重要である。マウス脳では、単一細胞RNA塩基配列解読によって分子的な細胞タイプのプロファイリングが行われているが、空間的な構成までは捉えられていない。今回我々は、in situでの塩基配列解読法であるSTARmap PLUSを用い、成体マウスの脳と脊髄の全体にわたる109万個の高品質細胞について、194 × 194 × 345 nm3のボクセルサイズで1022の遺伝子を三次元的にプロファイリングし、これらの細胞のマッピングを行った。我々はまた、計算パイプラインを開発し、230の分子的細胞タイプを単一細胞遺伝子発現によって、106の分子的組織領域を空間ニッチ遺伝子発現によって、それぞれ区分・クラスター化・注釈付けした。このように、分子的細胞タイプと分子的組織領域を共解析することで、体系的な分子的・空間的細胞タイプの命名と、従来の脳構造では定義されていなかった組織構造の特定が可能になった。我々は、トランスクリプトーム規模の空間アトラスを作製するため、今回のSTARmap PLUSの測定結果と既報の単一細胞RNA塩基配列のアトラスを統合して、1万1844遺伝子の単一細胞発現プロファイルを帰属させた。さらに我々は、脳規模の導入遺伝子の送達ツールであるAAV-PHP.eBのウイルス親和性を詳細に明らかにした。まとめると、今回の注釈付けされたデータセットは、分子的空間アトラス、脳構造、哺乳類中枢神経系の遺伝子操作の利用可能性を統合する、単一細胞レベルの情報資源を提供するものである。

