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気候科学:グリーンランド氷床の臨界しきい値をオーバーシュートする
Nature 622, 7983 doi: 10.1038/s41586-023-06503-9
人為起源の地球温暖化に応答したグリーンランド氷床(GrIS)の融解は、全球の海水準上昇(SLR)に関して深刻な脅威となっている。モデル化と古気候学的証拠は、北極域の急激な温度上昇がGrISの正のフィードバック機構の引き金となり、自律的な融解をもたらし得ることを示唆しており、GrISがいくつかの安定状態を許容することが示されている。全球平均気温(GMT)が特定のしきい値を超えると、臨界遷移が起こり、安定状態の間で大きなヒステリシスが生じると予測されている。今回我々は、2つの独立した氷床モデルを用いて、広範な温暖化速度とその後の寒冷化速度についてピーク温度と収束温度が異なる、さまざまなオーバーシュートシナリオの影響を調べた。その結果、GMTの最大値と所与のGMT目標をオーバーシュートする期間が、GrISの安定性の決定に重要であることが示された。我々は、産業革命以前のレベルより1.7〜2.3°C高いGMTが、急激な氷床損失のしきい値となることを見いだした。GMTの最大値が産業革命以前より6°C以上高くても、その後数世紀以内にGMTを産業革命以前から1.5°C未満の温暖化に抑えられれば、GrISの損失はかなり緩和できる。しかし、今回の結果は、温度しきい値の一時的なオーバーシュートであっても、新しい氷床状態に移行しなければ、SLRの最大値は最大で数メートルになることも示している。

