Article

免疫学:COVID-19後遺症を見分ける特徴を免疫プロファイリングを介して特定

Nature 622, 7982 doi: 10.1038/s41586-023-06651-y

急性感染後症候群は、急性のウイルス性疾患の後に発症する可能性がある。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染すると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症(long COVID)として知られる急性感染後症候群が発症することがある。COVID-19後遺症の患者では、絶え間ない疲労、労作後の倦怠感、認知や自律神経のさまざまな機能障害が、高い頻度で報告されている。しかし、これらの症状の発生と持続に関連する生物学的過程は分かっていない。今回我々は、COVID-19後遺症がある人とない人からなる275人を、多次元免疫表現型解析と偏りのない機械学習法を含む横断研究に登録し、COVID-19後遺症に関連する生物学的な特徴を特定した。COVID-19後遺症の参加者では、対応する対照群に比較して、循環血中の骨髄系細胞集団およびリンパ球集団に顕著な差異が見られたことに加え、SARS-CoV-2に対して過度の体液性免疫応答を起こしている証拠が示された。さらに、COVID-19後遺症の人では、SARS-CoV-2ではないウイルス病原体(特に、エプスタイン・バーウイルス)に対する抗体応答がより増強されていることが観察された。可溶性免疫メディエーターやホルモンのレベルは、参加者グループ間で変動があり、COVID-19後遺症の参加者ではコルチゾールレベルが低かった。免疫表現型解析データを偏りのない機械学習モデルに統合することで、COVID-19後遺症の状態と最も強く関連する主要な特徴が特定された。総合的にこれらの知見は、COVID-19後遺症の病理生物学的性質についての今後の研究を導いたり、関係するバイオマーカーを開発したりするのに役立つ可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度