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神経科学:アセンブロイドでのCRISPRスクリーニングによりヒトの神経発生における疾患遺伝子の影響が明らかになる
Nature 622, 7982 doi: 10.1038/s41586-023-06564-w
大脳皮質回路の組み立てには、介在ニューロンの発生と腹側前脳から背側前脳への移動が関与しているが、ヒトでは妊娠後期や出生後早期の発生段階が利用できないため研究は難しい。自閉症スペクトラム障害や他の神経発達障害(NDD)は、皮質介在ニューロンの発達異常と関連付けられているが、これらのNDD遺伝子のどれが介在ニューロンの発生や移動に影響を及ぼすのか、またこうした遺伝子がどのようにこれらの影響を仲介するのかは分かっていない。我々はこれまでに、外套下部(subpallium)オルガノイドおよび前脳アセンブロイドで介在ニューロンの発生と移動を研究するためのプラットフォームを開発している。今回我々は、アセンブロイドとCRISPRスクリーニングを統合して、ヒト介在ニューロンの発生において425のNDD遺伝子の関与を調べた。介在ニューロンの発生を対象とした最初のスクリーニングでは、CSDE1やSMAD4など、13の候補遺伝子が見つかった。続いて、1000以上の前脳アセンブロイドで介在ニューロンの移動についてのスクリーニングを行い、複数の細胞骨格関連遺伝子や小胞体関連遺伝子LNPKなど、33の候補遺伝子を特定した。介在ニューロンの移動に際して、核が移動する前に、小胞体がニューロンの先端の枝に沿って移動することが分かった。LNPKの欠失は、この小胞体の移動を妨げ、ニューロンの異常な移動を引き起こした。これらの結果は、このCRISPR-アセンブロイドのプラットフォームが、NDD遺伝子をヒトの発生に系統的にマッピングし、疾患の機構を明らかにする能力を持つことを明らかにしている。

