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量子コンピューティング:原子キュービットにおける高忠実度ゲートと中間回路消失変換
Nature 622, 7982 doi: 10.1038/s41586-023-06438-1
スケーラブルな高忠実度キュービットの開発は、量子情報科学における主要課題である。近年、中性原子キュービットが急速に進歩しており、プログラマブルプロセッサーや、数百個の原子までスケールアップした量子シミュレーターが実証されている。アルカリ土類原子などの新しい原子種の検討や、複数の原子種の組み合わせによって、コヒーレンス、制御、スケーラビリティーを向上させる新しい方法がもたらされる可能性がある。例えば、量子誤り訂正における最終的な応用のために、偏りのあるパウリ誤差や検出可能な消失への誤り変換などの構造化された誤りモデルを用いてキュービットを実現することは有益である。今回我々は、171Ybにおける長寿命準安定状態の核スピンを用いて、新しい中性原子キュービットを実証する。長いコヒーレンス時間とリュードベリ状態への高速励起によって、忠実度0.9990(1)の1キュービットゲートと忠実度0.980(1)の2キュービットゲートが可能になった。重要なのは、全ゲート誤りの大半が、キュービットサブ空間から基底状態への脱励起につながることである。我々は、こうした誤りの高速中間回路検出を行うことによって、そうした誤りを消失誤りに変換した。検出時に、計算空間に残っているキュービットにおいて誘発される誤りの確率は、10−5未満である。今回の研究は、準安定171Ybを、フォールトトレラントな量子コンピューティングを実現する有望なプラットフォームとして確立するものである。

