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植物科学:サリチル酸メチルを介した植物の空気媒介防御の分子基盤

Nature 622, 7981 doi: 10.1038/s41586-023-06533-3

アブラムシ類はウイルスを媒介して、作物に破壊的な影響を及ぼす害虫である。アブラムシ類の攻撃を受けた植物は揮発性化合物を放出して、隣接する植物で空気媒介防御(AD)を引き起こす。しかし、ADの基盤となる機構は分かっていない。今回我々は、サリチル酸メチル(MeSA)、サリチル酸結合タンパク質2(SABP2)、転写因子NAC2、サリチル酸カルボキシルメチルトランスフェラーゼ1(SAMT1)がシグナル伝達回路を形成して、アブラムシ類やウイルスに対するADを仲介していることを明らかにする。空気媒介性MeSAは、隣接する植物でSABP2によって感知され、サリチル酸に変換される。次に、サリチル酸はシグナル伝達カスケードを引き起こして、MeSA生合成のためのNAC2–SAMT1モジュールを活性化し、植物の抗アブラムシ免疫を誘導して、ウイルス伝播を減少させる。これに対抗するために、アブラムシが伝播させるウイルスの中にはヘリカーゼ含有タンパク質をコードしているものもあり、このヘリカーゼ含有タンパク質とNAC2が相互作用して、NAC2の細胞内の再局在化と不安定化を引き起こし、ADを抑制する。その結果、植物のアブラムシ類に対する忌避が低下し、アブラムシの生存や大量発生、ウイルス伝播が起こりやすくなる。我々の知見は、ADとアブラムシ–ウイルスの共進化する相利共生の機構的基盤を明らかにしており、ADがアブラムシ類とウイルスを制御するためのバイオインスパイア―ド戦略となり得る可能性を実証している。

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