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気候科学:過去1000年間の太平洋ウォーカー循環の強制された変化
Nature 622, 7981 doi: 10.1038/s41586-023-06447-0
太平洋ウォーカー循環(PWC)は、全球の気象と気候に極めて大きな影響を及ぼしている。それにもかかわらず、外的強制力に対するPWCの応答はよく分かっておらず、こうした応答の規模と符号は、経験的データとモデルシミュレーションで一致していないことが多い。大半の気候モデルでは、PWCは地球温暖化に応答して最終的に弱まると予想されている。しかし、PWCは1992〜2011年で強まっており、これは、人為起源のエアロゾルや火山性エアロゾルの強制力、あるいは内部変動の大きな役割を示唆している。今回我々は、古環境代理指標から導出した多方法による年分解能の新たなPWC再構築のアンサンブル(1200~2000年)を用いて、1992~2011年のPWCの強まりは、異常ではあるが、過去800年間の状況では未曽有ではないことを示す。1992~2011年のPWCの強まりは火山強制の結果であった可能性は低く、そのため、人為起源のエアロゾルの強制力か自然変動に起因した可能性がある。産業革命以降の時代(1850~2000年)のPWCに有意な傾向は見いだされず、これは、大半の気候モデルがシミュレートするPWCの弱まりとは対照的である。しかし、産業革命以降の時代に変動の周波数が低くなっていることは、わずかな人為起源の影響を示唆している。今回の再構築結果は、気候モデルでシミュレートされた応答に似て、火山噴火がエルニーニョに似たPWCの弱まりの引き金となることも示唆している。

