再生生物学:複数の幹細胞が基盤となる頭蓋骨癒合症と頭蓋冠石灰化
Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06526-2
頭蓋骨癒合症は、頭蓋冠縫合が早期に癒合してしまう一群の異常である。頭蓋骨癒合症において癒合を推進する骨芽細胞が、どのような頭蓋冠幹細胞(CSC)から生じるかはほとんど解明されていない。今回我々は、生理的な頭蓋冠石灰化と頭蓋骨癒合症における病的な頭蓋冠癒合の両方が、2種類の異なる幹細胞系譜の相互作用を反映していることを明らかにする。2種類とは、以前に特定されたカテプシンK(CTSK)系譜のCSC(CTSK+ CSC)と、今回の研究で特定されたそれとは別のジスコイジンドメイン含有受容体2(DDR2)系譜の幹細胞(DDR2+ CSC)である。ヒトの頭蓋骨癒合症に関連する遺伝子Twist1をCTSK+ CSCでのみ欠失させるだけで、マウスの頭蓋骨癒合症を引き起こせるが、癒合する運命にある部位ではCTSK+ CSCの予想外の欠乏と、それに対応するDDR2+ CSCの増加が見られた。このDDR2+ CSCの増加は、CTSK+ CSCの欠乏に対する直接的な不適応応答である。DDR2+ CSCは完全な幹細胞性を示し、これらの結果から、縫合には2種類の異なった幹細胞系譜が存在し、両方の集団が生理的な頭蓋冠石灰化に寄与していることが明確になった。DDR2+ CSCは、典型的な造血骨髄形成のない独特な軟骨内性骨化を引き起こす。縫合内にDDR2+ CSCを移植するだけで融合が引き起こせるが、CTSK+ CSCを同時に移植すると、この現象は起こらなかった。さらに、DDR2+ CSCとCTSK+ CSCに相当するヒト幹細胞も、異種移植片アッセイにおいて保存された機能特性を示した。これら2種類の幹細胞集団間に見られる相互作用は、頭蓋冠石灰化と縫合の開存性を調節するための新たな生物学的手段となるだろう。

