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がん:トリプルネガティブ乳がんでの免疫療法応答の空間的予測因子

Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06498-3

免疫チェックポイント阻害(ICB)は、トリプルネガティブ乳がん患者の一部に対しては有効だが、レスポンダー(奏効者)と非レスポンダー(非奏効者)とを分けているのが何なのかは明らかでない。ICBは細胞間相互作用を標的とするため、我々は、空間的な多細胞構造が応答に及ぼす影響を調べ、ICBが腫瘍微小環境をどのようにリモデリングするかを探った。そして、細胞の表現型、活性化状態、空間的配置が密接に関連しており、これらはICBの効果に影響を及ぼし、治療初期には感受性腫瘍と抵抗性腫瘍とで異なることが明らかになった。さらに我々は、ネオアジュバントICBの無作為化試験に登録された患者から3つの時点で採取された腫瘍中の43種類のタンパク質のin situでの発現を、イメージングマスサイトメトリーを用いてプロファイリングした(ベースライン、n = 243;治療初期、n = 207;治療後、n = 210)。多変量モデル化では、増殖中のCD8+TCF1+T細胞とMHCII+がん細胞の分画が奏効の主要な予測因子であり、B細胞とグランザイムB+ T細胞のがん–免疫相互作用がそれに続くことが明らかになった。治療中には、応答性の腫瘍はグランザイムB+ T細胞を豊富に含んでいたが、その一方で抵抗性の腫瘍はCD15+がん細胞が特徴だった。奏効は、治療前と治療中の組織特性の組み合わせによって最もよく予測され、これは適応治療を進める際に早期生検が担う役割を示している。この結果は、多細胞の空間的構造がICB効果の主要な決定要因であることを明らかにしており、in situで体系的に列挙することが精密がん免疫学の実現に役立つ可能性を示唆している。

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