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光学:集積OLED励起を用いた電気駆動有機レーザー

Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06488-5

有機半導体は、単純な作製方法でオプトエレクトロニクス特性が得られるとともに化学構造の変更による調整の余地がある炭素系材料である。有機半導体を用いて、有機発光ダイオード(OLED、現在携帯電話のディスプレイやテレビに広く使用されている)、太陽電池、トランジスター、センサーの作製に成功している。しかし、電気的に駆動される有機半導体レーザーの作製は、大変な難題である。こうしたレーザーの作製が困難なのは、有機半導体が、一般に低い電流密度にしか対応できず、注入電荷や三重項による吸収が大きく、接触に起因してさらに損失があるという問題を抱えているからである。つまり、利得媒質への電荷注入が、容認できない損失につながる。今回我々は、電荷注入とレーザー発振を空間的に隔てることによって損失を大幅に低減させる、代替的手法をとった。我々は、非常に明るい内部光を生成するOLEDとポリマー分布帰還型レーザーを効率よく結合させた集積デバイス構造を開発することによって、この手法を実現した。我々は、この集積構造の電気的駆動の下で、光出力–駆動電流におけるしきい値、狭い発光スペクトル、しきい値以上でのビーム形成を観測した。これらの観測結果は、レーザー発振を裏付けている。今回の結果から、これまで実証されたことのない有機電子デバイスが得られるとともに、OLEDによる間接的な電気的レーザー励起が、電気駆動有機半導体レーザーを実現する非常に効果的な方法であることが示された。これは、分光法、計測学、センシングに応用可能な可視光レーザーを実現する手法をもたらす。

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