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天文学:M87の自転するブラックホールにつながる歳差運動を示すジェットのノズル

Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06479-6

近傍の電波銀河M87は、中心部の超大質量ブラックホールと相対論的ジェットの間のつながりを研究するまたとない機会をもたらす。M87の中心領域に関するこれまでの研究から、ブラックホール付近を起源とするジェットの広い開口角が明らかになっている。また、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)によって、中心部の電波源が解像され、一般相対性理論からの予想と一致する非対称なリング構造が見いだされた。17年にわたる観測によれば、ジェットの横断方向の位置の変化が存在し、これは8〜10年の準周期性に起因する可能性があった。しかし、この横断方向の変位の起源は、まだよく分かっていない。本論文で我々は、ジェットの位置角の変動がおよそ11年の周期であることを示唆する、22年にわたる電波観測の解析結果について報告する。我々は、ブラックホールの自転軸とそろっていない降着円盤のレンス・ティリング歳差運動を誘発する、自転しているブラックホールを見ていると推測する。似たようなジェットの歳差運動は、他の活動銀河核でも一般的に生じる可能性があるが、小さな振れ幅と長周期の変動のため、検出は困難であった。

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