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生態学:在来樹木の多様性は外来樹木の侵入の深刻度を緩和する
Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06440-7
在来の生態系を管理し外来植物種の広がりを抑制するには、外来植物の侵入の駆動要因を明らかにすることが重要である。特に樹木の侵入は、生態系や地域経済を変容させる可能性があるにもかかわらず、これまで比較的見過ごされてきた。今回我々は、全球的な樹木データベースを利用し、在来樹木群落の系統的・機能的多様性、人為的圧力、環境が、外来樹木種の定着とその後の侵入の深刻さにどのような影響を与えるかを検討した。その結果、ある場所で侵入が起こるかどうかの予測には人為的な要因が重要であるが、侵入の深刻さは在来種の多様性の影響を受けており、多様性が高い森林ほど侵入の深刻度は低くなることが分かった。気温と降水量は侵入戦略の強力な予測因子であるが、極端な低温や乾燥環境下では、外来種は在来群集に類似しているものほど侵入に成功しやすい。こうした生態学的要因は侵入戦略に影響するものの、こうしたパターンは人間活動によって不明瞭になりやすく、貿易港に近い場所ほど生態学的要因の影響を示すシグナルは小さくなった。外来樹木の侵入に関する今回の全球的な分析は、人為的な駆動要因が外来樹木の存在に影響を与えること、そして、その後の侵入の定着と広がりでは在来種の系統的・機能的多様性が重要な役割を果たすことを明らかにしている。

