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化学:光によって可能になったAl-サレン光触媒反応によるシクロプロパンの脱ラセミ化

Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06407-8

共通の構造的特徴を持つとともにさまざまな反応においてエナンチオ選択的である特権的キラル触媒は、化学研究の様相を一変させ続けている。近年、光によって活性化される過程である励起状態触媒反応を通して新しい反応性モードが実現されているが、基底状態の特権的触媒の選択性に匹敵し得るのかどうかはよく分かっていない。基底状態サイクルによる光生成中間体の妨害によってこの課題が部分的に対処されているが、反応性と選択性を同時に調節する単一キラル光触媒は極めてまれである。これまでのところ、エナンチオ選択的光触媒設計には、正確なドナー–アクセプター認識モチーフが依然として不可欠である。今回我々は、明確な光物理的特性を持つキラルAl-サレン錯体を用いて、シクロプロピルケトンの高効率光化学的脱ラセミ化(エナンチオマー比〔e.r.〕が最大で98:2)が可能になることを示す。λ = 400 nmの紫色光の照射によって、市販の触媒の反応性が向上し、反応性とエナンチオ選択性が同時に調節可能になる。これによって、目的に合わせた触媒–基質認識モチーフの必要性が回避される。今回の研究によって、励起状態過程における多くの古くからの(基底状態)キラル触媒の再評価が促され、最終的にはどちらの反応モデルにおいても「特権的」と見なされ得る候補の特定につながると予想される。

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