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免疫学:内皮AHR活性はウイルス感染において肺バリアの破綻を防ぐ

Nature 621, 7980 doi: 10.1038/s41586-023-06287-y

呼吸器ウイルス感染後の肺の内皮–上皮細胞バリアの破綻は、気腔で細胞や体液の蓄積を引き起こし、重要なガス交換機能を損なわせる。内皮の機能不全は組織損傷を増悪させ得るが、肺の内皮が病原性ウイルスに対する宿主の抵抗性を促進するかどうかは明らかになっていない。今回我々は、環境センサーであるアリール炭化水素受容体(AHR)の肺内皮細胞での活性が高く、AHRがインフルエンザウイルス誘導性の肺血管漏出を防いでいることを示す。内皮でのAHRの喪失は、肺の損傷を増悪し、赤血球と白血球の肺胞気腔への浸潤を促した。さらに、内皮AHRを欠損させると、バリアによる防御が損なわれ、宿主の二次性細菌感染への感受性が上昇した。AHRは、血管作動性のアペリン–APJペプチド系など、内皮における組織防御転写ネットワークに関与して、気道上皮細胞で異形成とアポトーシスを引き起こす応答を防ぐ。また我々は、肺内皮細胞での防御的なAHRシグナル伝達は、感染自体によって減弱することを示す。AHRの防御機能を維持するには、天然に存在するAHRリガンドを豊富に含む食餌が必要であり、これらが肺内皮で疾患抵抗性経路を活性化して、組織損傷を防ぐことが分かった。我々の知見は、肺のバリア免疫における内皮機能の重要性を実証している。病原性ウイルスとの遭遇後の肺損傷に影響を及ぼす腸–肺軸が見つかったことで、食餌の組成や摂取量と、宿主の適応度や疾患転帰の個体差が結び付けられた。

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