Article

健康科学:低・中所得国における小児の消耗症と同時に起こる発育阻害

Nature 621, 7979 doi: 10.1038/s41586-023-06480-z

2030年までに栄養不良を解消するという持続可能な開発目標2.2には、小児の消耗症をなくすことが含まれている。小児の消耗症とは、身長に対する体重のzスコアが、世界保健機関(WHO)の小児の成長基準の中央値の2標準偏差未満である状態と定義される。消耗症を測定する一般的な方法である横断調査では、予防的介入や疾病負荷推定の情報源となる重要な特徴である、発症、回復、持続性を測定できない。今回我々は、21の縦断コホートを解析し、消耗症は発症および回復の非常に動的な過程であり、発生のピークは出生から3カ月齢までの間であることを示す。ある1時点での有病症例数から示唆されるよりもはるかに多くの小児が、生後24カ月間のある時点で消耗症のエピソードを経験していた。例えば、24カ月齢時には、小児の5.6%が消耗症であったが、同じ月齢(24カ月齢)までに、小児の29.2%が少なくとも1回の消耗症エピソードを経験しており、10.0%が2回以上の消耗症エピソードを経験していた。6カ月齢未満で消耗症になった小児は、それ以後の月齢で消耗症になった小児よりも回復が早く、エピソードも短かったが、早期の消耗症は、消耗症と同時に起こる発育阻害(年齢に対する身長のzスコアが低い)など、その後の成長遅滞(growth faltering)のリスクを高め、従って死亡リスクが増大した。季節的降雨が多い地域のさまざまな集団では、身長に対する体重のzスコアの集団平均には大きなばらつきがあり(一部のコホートでは0.5 z以上)、平均zスコアが最も低かったのは最も降雨量が多い月の間であった。これは、季節に的を絞った介入も検討すべきかもしれないことを示している。我々の結果は、母体の栄養改善などの方法により、出生から6カ月齢までの小児の消耗症を防ぐ介入を確立して、6~59カ月齢の小児に焦点を合わせた現行のプログラムを補完することの重要性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度