Article
物性物理学:トポロジカル反強磁性体における量子計量誘起非線形輸送
Nature 621, 7979 doi: 10.1038/s41586-023-06363-3
ベリー曲率と量子計量は、量子状態のトポロジーを特徴付ける量子幾何テンソルのそれぞれ虚部と実部である。量子ホール効果や異常ホール効果などの複数の重要な輸送現象が、ベリー曲率によって生じることが知られている。しかし、量子計量の影響は、輸送測定によってはほとんど調べられていない。今回我々は、トポロジカル反強磁性体であるMnBi2Te4薄膜において、非線形異常ホール効果とダイオード様の非相反的縦応答の両方を含む、量子計量誘起非線形輸送を観測したことを報告する。観測結果から、非線形縦伝導率と非線形横伝導率は、反強磁性秩序が逆転すると符号を反転させ、ネール温度を超えると低下し、無秩序散乱に対して鈍感であることが明らかになり、これによってバンド構造トポロジーにおける起源が確認された。また、それらの非線形伝導率は、電子ドープ領域と正孔ドープ領域の間でも符号を反転させており、これは理論計算結果と一致する。今回の研究から、非線形輸送を通して量子計量を調べるとともに非線形磁気デバイスを設計する手段が得られる。

