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単一分子分光学:気相における単一分子赤外分光法

Nature 621, 7978 doi: 10.1038/s41586-023-06351-7

分光法は、分子構造に関する有益な知見をもたらす重要な分析ツールであり、化学物質試料の特定に広く用いられている。タギング分光法(tagging spectroscopy)は、アクション分光法の一形態で、1個の分子イオンによる単一光子の吸収が、弱く結合した不活性「タグ」粒子(He、Ne、N2など)の損失を通して検出される。吸収スペクトルは、入射放射周波数の関数としてのタグ損失率から得られる。今のところ、気相多原子分子の分光法は全て、大きな分子集団に限定されているため、複数の化学種や異性体種の存在によってスペクトルの解釈が煩雑になっている。今回我々は、可能な限り最高純度の試料、すなわち単一の気相分子を分析する、新しいタギング分光スキームについて報告する。我々は、単一の気相トロピリウム(C7H7+)分子イオンの赤外スペクトルの測定を用いて、この手法を実証する。この手法は感度が高く、これまで従来のタギング法では観測されなかったスペクトル的特徴が明らかになった。原理的には、今回の手法では、複数の成分分子を1つずつ特定することによって多成分混合物の分析が可能になる。単一分子感度を有することによって、アクション分光法の適用範囲が、地球外起源物質などの希少試料や、従来のアクション法では検出できない低数密度で形成された反応性反応中間体に拡張される。

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