ナノスケール材料:高効率のH2生成を目的としたMoS2上でのPtの相依存性成長
Nature 621, 7978 doi: 10.1038/s41586-023-06339-3
結晶相は、二次元遷移金属ジカルコゲニド(TMD)の特性、ひいては機能を決定付ける重要な要素である。TMD材料は、多様な用途向けに研究されており、一般にナノ材料や担持された金属触媒を構築するテンプレートとしての役割を果たしている。しかし、TMD結晶相が二次材料の成長にどのような影響を与えるのかについては、特に触媒開発に重要であるにもかかわらず、よく分かっていない。水素発生反応の電極触媒として用いられる二次元MoS2ナノシート上のPtナノ粒子の場合、熱力学的に安定な低導電性2H相が混入した金属/半金属1T/1T′相からなるMoS2テンプレート上では、Ptナノ粒子の約3分の2しかエピタキシャル成長していなかった。今回我々は、相純度が高いMoS2ナノシートの作製について報告し、2H相テンプレートがPtナノ粒子のエピタキシャル成長を促進する一方で、1T′相がPt担持率10 wt%まで単原子分散Pt(s-Pt)原子を担持することを示す。我々は、このs-Pt/1T′-MoS2系において、Pt原子が3つの異なるサイトを占めることを見いだし、密度汎関数理論計算によって、Mo原子の上に位置するPt原子の水素吸着自由エネルギーがゼロに近いことを示す。おそらくこれが、酸性媒質における効率的な電極触媒的H2生成に寄与していると考えられる。我々は、s-Pt/1T′-MoS2について、過電圧−50 mVで質量活性85 ± 23 A mgPt−1と、質量正規化交換電流密度127 A mgPt−1を得ており、室温で動作させたH形セルとプロトタイプのプロトン交換膜電解槽において安定性能を確認した。相安定性の制限によって高温での動作が阻まれるが、我々は、他の重要な反応を目的とした他の触媒にも、1T′-TMDが効果的な担体となると予想する。

