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生物物理学:拡張したポアを持つ五量体TRPV3チャネル

Nature 621, 7977 doi: 10.1038/s41586-023-06470-1

TRP(transient receptor potential)チャネルは真核生物イオンチャネルの大きなスーパーファミリーであり、多様な生理学的機能を調節しているため、薬物標的として関心を集めている。20以上のさまざまなTRPチャネルから210を超える構造が決定されており、それら全てが四量体である。得られた構造の豊富さにもかかわらず、TRPVチャネルの多くの特性については、ポア拡張現象(これによって持続する活性化がコンダクタンス増大や大型イオンの透過性、整流作用の喪失を引き起こす)を含めて、依然として不明なところが多い。今回我々は、膜に組み込まれたTRPV3を、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて1分子レベルで解析し、新たな五量体状態を発見した。HS-AFMによる動的画像化により、膜を拡散するプロトマーとの交換を介してカノニカルな四量体と動的平衡状態にある、五量体の過渡的性質と可逆性が明らかになった。五量体の数は、アゴニストであるジフェニルボロン酸無水物(DPBA)の添加により増加した。DPBAはTRPV3のポア拡張を引き起こすことが以前に示されている。これらの知見に基づいて、我々はタンパク質の生産とデータ解析のパイプラインを設計し、その結果としてTRPV3五量体のクライオ電子顕微鏡構造が得られ、四量体と比べるとポアが拡張していることが明らかになった。五量体状態への移行と戻りが遅いという速度論的性質と、DPBA添加により増える五量体形成、そして拡張したポアは、五量体がポア拡張に構造的に相関する状態であることを示唆している。従って、膜拡散に関わるプロトマー交換が、構造変化とコンホメーション多様性を達成するためのもう1つの機構であることが明らかになった。まとめると、この研究は非カノニカルな五量体TRPチャネル組み立ての構造学的証拠を示しており、TRPチャネル研究の新たな方向への進展の基盤となる。

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