エネルギー材料:リチウム–硫黄電池の界面の集団的反応挙動の可視化
Nature 621, 7977 doi: 10.1038/s41586-023-06326-8
リチウム–硫黄(Li–S)電池は、高エネルギー密度(2600 Wh kg−1)と安価という利点があり、先進的なエネルギー貯蔵システム向けの有望な候補と考えられている。多硫化リチウム(リチウムポリスルフィド)の長年の課題であるシャトル効果の抑制に多大な努力が払われているにもかかわらず、ナノスケールでのリチウムポリスルフィドの界面反応の理解は進んでいない。これは主に、不安定なリチウムポリスルフィドの液体–固体変換を高い時間空間分解能で追跡する際のin situ特性評価ツールの限界に起因する。Li–S電池内部の結合現象、具体的にはリチウムポリスルフィドの動的な分布、凝集、析出、溶解を理解することが急務となっている。今回我々は、in situ液体セル電気化学透過型電子顕微鏡法を用いて、電極表面のリチウムポリスルフィドの変換を原子スケールで直接可視化した。注目すべきことに、ナノクラスターの活性中心を固定化した表面で、リチウムポリスルフィドの予想外の集合誘起集団的電荷移動が捉えられた。この現象はさらに、リチウムポリスルフィドの高密度液相から非平衡Li2Sナノ結晶の析出を即座に誘発した。この反応は、活性中心を介することなく古典的な単一分子経路をたどり、リチウムポリスルフィドは段階的にLi2S2とLi2Sに変換された。分子動力学シミュレーションによって、活性中心とリチウムポリスルフィドの間の長距離静電相互作用が、Li+とSn2−(2 < n ≤ 6)からなる高密度相の形成を促進させることが示され、高密度相における集団的電荷移動が、ab initio分子動力学シミュレーションによってさらに検証された。この集団的界面反応経路によって、新たな変換機構が明らかになり、Li–S電池の基礎的理解が深まる。

