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物性物理学:原子を1個ずつ組み立てた量子ドットの近接超伝導
Nature 621, 7977 doi: 10.1038/s41586-023-06312-0
超伝導体と電子的に接触したギャップレス物質は、界面近傍の領域で近接誘起超伝導を獲得する。本来超伝導でない系へのこうした電子対形成の付加に立脚して多くの提案がなされており、トポロジカル超伝導、奇周波数超伝導、節点超伝導、フルデ–フェレル–ラーキン–オフチンニコフ超伝導など、興味深い物質相が予想されている。今回我々は、走査型トンネル顕微鏡(STM)によって原子を1個ずつ操作して組み立てられた超伝導基板上の量子柵(quantum corral)内に閉じ込められた表面状態の単一スピン縮退量子準位だけに及ぼされる、近接効果の最も小型の例を調べた。その結果、柵のサイズを調整することによって、柵の固有モードをフェルミエネルギー近傍に調節すると、常に一対の粒子–正孔の対称状態が超伝導体のギャップに入ることが分かった。我々は、これが、50年前に町田と柴田によって理論的に予言され、これまでトンネル分光法では検出されていないが、最近になってトランスモン・キュービット・デバイスに関連することが示されている、スピン縮退アンドレーエフ束縛状態であると特定した。さらに我々は、観測されたギャップ内状態の反交差が、量子柵の固有モードにおける近接誘起対形成の尺度であることを見いだした。今回の結果は、超伝導体における不純物誘起ギャップ内状態の解釈に直接的な影響を及ぼし、表面状態に超伝導を誘起するという考え方を裏付け、さらには超伝導人工格子への道を開くものである。

